勝鹿 北星さんはラデック・鯨井 = きむら はじめさん?で、小学館「ビッグコミックオリジナル」の「MASTER キートン」最終回翌号で、浦沢 直樹さんと勝鹿 北星さんがインタビューされたが、「キートン・マスターズ・ブック」では勝鹿さんに関する記述はほとんど削除されている、と述べました。
著作権で揉めているとしたら、このインタビュー記事を確認して、どの記述が削除されているか検証しなければなりません。
私は、国会図書館へ向かいました。
記事は浦沢さん 2 ページ/勝鹿さん 1 ページで、「別々に」インタビューされており、「キートン・マスターズ・ブック」と比較すると、以下の違いがあります(ワイド版を持っていないので、巻数は単行本のみ記します)。
- 浦沢さんへのインタビュー
- 「ビッグコミックオリジナル」1994 年 6 月 20 日号にあり、「キートン・マスターズ・ブック」にない内容
- ピーター・オトゥールやフランシス・コッポラをモデルとした登場人物の紹介
- 第 3 巻「すべての人に花束を」の佐伯 純男は、勝鹿さんがモデル
- 「ビッグコミックオリジナル」1994 年 6 月 20 日号になく、「キートン・マスターズ・ブック」にある内容
- 担当編集者との打ち合わせから、キートンが生まれた
- 「パイナップル ARMY」(作:工藤 かずや/画:浦沢 直樹)のジェド・豪士が体育会系だったので、文系に
- 編集部が考古学者という職業を考えた
- どこにでも入り込めて周囲に溶け込める服装として、出た結論がスーツ
- 後に勝鹿さんが、専門家にスーツが過酷な場所に対応できることを聞いた
- 共通してある、重要な内容
- 第 10 巻「祈りのタペストリー」の原作では、タペストリーについて「真ん中に城壁があって、下にネズミがいて」とだけ書かれていたが、資料がなくて苦労した
- 「ビッグコミックオリジナル」1994 年 6 月 20 日号にあり、「キートン・マスターズ・ブック」にない内容
- 勝鹿さんへのインタビュー
- 「キートン・マスターズ・ブック」では全部削除
- キートンは、ハードボイルドに対するアンチヒーロー
- 軍事・海外事情・歴史・伝説を盛り込みたかった
- 伝説を取り入れた話が、第 6 巻「アザミの紋章」
- 壁が壊れる前の東ベルリンで、ロシア大使館の写真を撮っていたら、秘密警察にマークされた
- 別の出版社の人に、「専門家集団が原作者で、編集者がまとめている」と聞かされ、愉快だった
- 後半は、世界情勢の激動、特に東西の壁が壊れて起きた悲劇(第 17 巻「壁の忘れ物」)を背景にしている
- 浦沢さんの才能がなければ、リアリティーは成り立たなかった
- 「キートン・マスターズ・ブック」では全部削除
なお、「『ビッグコミックオリジナル』1994 年 6 月 20 日号になく、『キートン・マスターズ・ブック』にある内容」の初出は、「ビッグコミックオリジナル」1998 年 8 月 20 日号の「MASTER キートンアニメ化記念 浦沢 直樹スペシャルインタビュー!!」であることを発見しました。
「キートン・マスターズ・ブック」のインタビューは、文章を「ビッグコミックオリジナル」の 1994 年 6 月 20 日号と 1998 年 8 月 20 日号から再構成して、浦沢さんの写真を 1998 年 8 月 20 日号から流用したものだったのです。
「ビッグコミックオリジナル」と「キートン・マスターズ・ブック」から、以下が分かります。
- 勝鹿 北星名義の代表作
- きむら はじめ名義の代表作
- ラデック・鯨井名義の代表作