長崎 尚志さんの横領が本当の場合

(注)このページには主観的推測が多いので、話半分に読んで下さい。

勝鹿 北星さんは長崎 尚志さん?で触れた噂の真相社「噂の眞相」の記事には、大雑把に言って 3 つの内容がありました。

  1. 長崎 尚志さんは、勝鹿 北星なる架空人物をでっち上げた
  2. 長崎さんは、架空人物を隠れ蓑に横領をした
  3. 雁屋 哲さんが密告して、長崎さんは更迭された

これらのうち、「架空人物でっち上げ」が事実と異なることは明白ですが、他は外部からは分かりません。

しかし、小学館「ビッグコミックスピリッツ」で連載していた方に後年、「額は分からないが、横領自体はたぶん本当」と聞きました。

そこで、長崎 尚志さんの横領が本当の場合を考えてみます。


「MASTER キートン」で長崎さんが横領をしていた、と仮定します。

1999 年 7 月、長崎さんは「ビッグコミックスピリッツ」の編集長になりました。

時を同じくして、「MASTER キートン」の My First Big の刊行が開始され、2000 年 1 月からは文庫版も発売予定でした。

1999 年 10 月頃から小学館社内で、長崎さんの横領疑惑が噂されるようになります。

親友のきむら はじめさんから横領の事実を聞いており、「ビッグコミックスピリッツ」で「美味しんぼ」(作:雁屋 哲/画:花咲 アキラ)が打切られそうになった雁屋さんが流出元とされました。

11 月 22 日、小学館定例取締役会は、「ビッグコミックスピリッツ」「ビッグコミックオリジナル」を統括する三宅 克第 2 編集部部長と長崎さんに事情聴取を行い、その場で更迭が決定します。

月に 1, 2 冊ずつ、10 月までに第 5 巻までが出ていた My First Big は、疑惑の作品ということで 11 月以降、一時刊行停止になりました。

自分を育ててくれた長崎さんが、雁屋さんにより更迭されたことに激怒した浦沢さんは、「MASTER キートン」単行本/ワイド版/文庫版(2000 年 1 月から発売開始予定)の「勝鹿 北星」の文字を小さくクレジットすることを小学館に要求します。

これに対して雁屋さんは、「名前を小さくすることは許せない」と抗議すると同時に、刊行が止まっている My First Big も、今まで通りのクレジットで発売再開するよう求め、2 月から第 6 巻以降が店頭に並びます。

浦沢さんは、My First Big は最初にクレジットに関する契約を結んでいなかったので渋々応じたものの、文庫版に関してはご破算にし、単行本/ワイド版については次の契約更新(単行本は 2, 3 年おきに契約更新するそうです)で絶版にすることを決意したのでした。

しかし、「パイナップル ARMY」(作:工藤 かずや/画:浦沢 直樹)は一連の事件と無関係なので、工藤さんのクレジットを小さくすることは主張しませんでした。

さて、浦沢 & 長崎さん vs きむら & 雁屋さんの対立が目につきますが、「噂の眞相」によると、小学館の派閥争いの発露だったことになります。

当時、小学館には 2 つの派閥があった、というのです。

  • 白井 勝也取締役 - 亀井 修サンデー編集部部長
  • 中村 滋取締役 - 三宅 克第 2 編集部部長

長崎さんは中村 - 三宅ラインの配下におり、雁屋さんは「ビッグコミックスピリッツ」元編集長の白井さんと親しかった、と述べられています。

派閥抗争から長崎さんは更迭され、「MASTER キートン」絶版はそのとばっちりということになります。


文藝春秋「週刊文春」2005 年 5 月 26 日号から 2 年後に、「反日マンガの世界」が発売されました。

(注)このページには主観的推測が多いので、話半分に読んで下さい。