「パイナップル ARMY」と「YAWARA!」

「YAWARA!」(浦沢 直樹)は、「パイナップル ARMY」(作:工藤 かずや/画:浦沢 直樹)の連載開始 1 年後から小学館「ビッグコミックスピリッツ」に連載されました。

連載開始当初の「YAWARA!」
単行本
巻数
単行本
話数
サブタイトル 備考 掲載号 カラー
第 1 巻 第 1 話 国民栄誉賞をとる少女 月 1 連載開始 1986/9/22 2 色
第 2 話 恋の腕ひしぎ十字固め   1986/10/20  
第 3 話 なんてったってライバル   1986/11/17  
第 4 話 晴着のパンチラ巴投げ 週刊連載開始 1987/1/8 4 色 + 2 色
第 5 話 おじいちゃんの陰謀   1987/1/15  
第 6 話 柔の実戦初体験   1987/1/22  
第 7 話 バーゲンセールはどうなるの!?   1987/1/29  
第 8 話 起死回生の必殺技   1987/2/2  
第 9 話 花園君が恋をした   1987/2/9  
第 10 話 ライバル始動   1987/2/16  
第 11 話 素敵な恋見つけた   1987/2/23  

「YAWARA!」の連載開始と前後して、「パイナップル ARMY」にはカラーページが激減していることが窺えます。

浦沢さんは、1987 年 1, 2 月には 3 本の連載を抱えていました。

浦沢 直樹さんの 1987 年 1, 2 月の連載
作品名 掲載誌 発行間隔
「パイナップル ARMY」
(作:工藤 かずや/画:浦沢 直樹)
小学館「ビッグコミックオリジナル」 月 2 回刊
「BE-PAL MANUAL COMIC
ビーパル・マニュアル・コミック」
(作:「BE-PAL」編集部/画:浦沢 直樹)
小学館「BE-PAL」 月刊
「YAWARA!」
(浦沢 直樹)
小学館「ビッグコミックスピリッツ」 週刊

美術出版社「コミッカーズ」1997 年 4 月号の「浦沢 直樹インタビュー」(文:南 信長)によると、以下のように原稿を仕上げていたそうです。

『ビッグコミックスピリッツ』週刊連載「Happy!」16 ページ分の原稿を仕上げるためにゆるされる時間はたったの 4 日間。
そして『ビッグコミックオリジナル』隔週連載の「MONSTER」28 ページ分はなんと 6 日。
4 日 + 4 日 + 6 日をひとつのサイクルとして「Happy!」 + 「Happy!」 + 「MONSTER」 = 14 日。
これを毎月 2 サイクル。

(中略)

このような制作スタイルは、「YAWARA!」や「MASTER キートン」をつくり出す前、「パイナップル ARMY」の頃からだから、かれこれ 10 年以上も続いていることになる。

「ビッグコミックオリジナル」は「隔週連載」ではなく「月 2 回連載」ですが、「BE-PAL」月刊連載の「BE-PAL MANUAL COMIC ビーパル・マニュアル・コミック」8 ページ分を描く時間がありません。

しかも、2 月なんて 28 日しかないのに、と思っていたら、この時期の「パイナップル ARMY」は 24 ページか 26 ページだったので、どうにかやりくりできたのでしょう(それでも、超人的な仕事量です)。

ビーパル小僧のアウトドア教本で述べたように、「ビッグコミックスピリッツ」編集部は「YAWARA!」が週刊連載になるとき、「『BE-PAL』にはなんとか交渉する」としており、「BE-PAL MANUAL COMIC ビーパル・マニュアル・コミック」の作画は、3 月から本庄 敬さんに交代しました。

「YAWARA!」は月 1 連載が人気あったため 4 回目から週刊連載になりましたが、「パイナップル ARMY」の連載開始直後の反応はどうだったのでしょうか。