南 信長さんの「現代マンガの冒険者たち」の「第 4 章 <物語の力>を信じる者たち」に、「浦沢 直樹の<密かな企み>」という項があります(太字原文)。
'99 年の『MONSTER』に続き、'05 年『PLUTO』で 2 度目の手塚治虫文化賞大賞を受賞した浦沢直樹。
すでに一度受賞している作家に再び賞を与えることに選考委員の中でも議論がなかったわけではない。
選考経過を報じる朝日新聞の記事(2005 年 5 月 10 日付)にも<2 度あげるより、できるだけ多くの人に賞を与えるべきだ><2 回目の場合、ハードルは高い>といった意見が出たことが記されている。
が、そんな異論を押しのけての受賞。
それは、『PLUTO』という作品が与えた衝撃がいかに大きかったかを物語る。
しかも、その『PLUTO』と並行して、『20 世紀少年』という、これまたスケールの大きな作品を連載していたのだから、ここで浦沢直樹を「当代随一のストーリーテラー」と呼んだとしても、もはや異論は出ないだろう。
この本では太字の箇所に脚注が付いており、「異論は出ない」には以下のようにあります。
『MASTER キートン』における勝鹿北星、『PLUTO』における長崎尚志など、原作者の存在をどう考えるのかという問題はあるが、彼らと浦沢の役割分担、力関係がどういったものなのかは、正直わからない。
ここでは、マンガ作品として最終的に浦沢が責任を持つものであると解釈しておくことにする。
文藝春秋「週刊文春」2005 年 5 月 26 日号を鵜呑みにしていないのは良いのですが、美術出版社「コミッカーズ」1997 年 4 月号で 8 時間ものロングインタビューを行ったのに、「正直わからない」ようです(笑)。
さて、「パイナップル ARMY」「MASTER キートン」以外にも原作を改変したマンガがあり、「まんが編集術」(西村 繁男)などに、いくつか紹介されています。
1 つ目は、「あしたのジョー」(作:高森 朝雄/画:ちば てつや)です。
- 勝鹿 北星名義の代表作
- きむら はじめ名義の代表作
- ラデック・鯨井名義の代表作