「アストロ球団」(作:遠崎 史朗/画:中島 徳博)

「まんが編集術」(西村 繁男)の「III まんがの原作とは何か——原作付きまんがについて」より。

『アストロ球団』もそうです。
遠崎 史朗さんが原作に関わったのは、あるところまでですね。

●えッ、そうなんですか?

あとは中島 徳博さんと担当者の後藤(広喜)くんが、延々と続く試合を考えていったんです。

●それでも遠崎さんには原作料を払うわけですか?

原作料も、単行本の印税もです。
『アストロ球団』の設定は、原作者が作ったものです。
原作者の著作権は、このタイトルを続ける限り、原作者に属しているので、当然のことなんです。
これも遠崎さんの了解を得て、続けることができたわけです。

「IV ヒット作の舞台裏」より。

最初の設定部分は確かに原作者がいて出来たようなところがあるわけですよ。

(中略)

ビクトリー球団あたりは漫画家の中島さんのオリジナルなんです。

●遠崎さんは、どの辺まで書かれていたんですか?

連載の半ば過ぎた当たりまでじゃないですか。

●でも、最初の設定とかストーリーは遠崎さんが考えられたんでしょう?

もちろん。

●で、試合が長くなってきて……。

出だしはまあまあの手応えなんだけど、今ひとつ人気が上がってこないんですよ。
もっと原作を叩き込まなきゃいかんということなんだけど、原作者を叩いても、しょせん、まんが家がアンカーでしょ。
だから、まんが家ががんばらなきゃ、原作ががんばってもダメなんですよ。

担当者は後藤くんなんだけど、結局、遠崎さんとやりとりして、 その上で、その原作を持って中島さんとやると、二度手間になるだけなんですよ。
遠崎さんは組合をやって、それで外されて、原作に転向していくんだけれども、『ジャンプ』の時期にフリーランスとはいえ、臨時で編集に参加していたわけで、二年遅れて七〇年に入社した後藤くんより遠崎さんの方が、編集者としては一応先輩なわけですよ。
先輩風吹かしたかどうかは分からないけれども、やりとりでは遠慮もあるわけでしょ。

で、中島さんになると、こっちは歳も下だし、新人だしということでビシビシやれるし、そっちに主力が傾いちゃった結果、遠崎さんの原作が何枚か書かれると、そのうちの何行くらい使ったかというくらい、ほとんど捨てられちゃうわけですよね。
その結果、原作者も予想しない話になってしまうんですよ。
終わったところで、その続きを考えなきゃいけないわけです。
で、原作の方も、途中からできないということで、要所要所ではアイデアは提供してもらうんですが、ストーリーは中島さんのオリジナルになっていくわけですよ。

4 つ目は、「チャイルド・プラネット」(作:竹熊 健太郎/画:永福 一成)です。