2010 年 1 月、「アルタンタハー 東方見聞録奇譚」(長崎 尚志)が発売され、2 編の小説が収録されています。
- 黄金の鶏
- 講談社「パンドラ」Vol.2 SIDE-B 掲載の「アルタンタハー 東方見聞録奇譚」を改題
- 黄金の鞍
- 書き下ろし(2009 年 7 月)
「パンドラ」は Vol.4 までしか刊行されていないので、「黄金の鞍」は Vol.5 に掲載する予定だったのかもしれないし、最初から単行本のために書き下ろしたのかもしれません。
- 「パンドラ」Vol.1
- 「パンドラ」Vol.1 SIDE-A(2008 年 2 月 4 日発売)
- 「パンドラ」Vol.1 SIDE-B(2008 年 4 月 8 日発売)
- 「パンドラ」Vol.2
- 「パンドラ」Vol.2 SIDE-A(2008 年 10 月 9 日発売)
- 「パンドラ」Vol.2 SIDE-B(2008 年 12 月 20 日発売)
- 「パンドラ」Vol.3(2009 年 4 月 21 日発売)
- 「パンドラ」Vol.4(2009 年 8 月 21 日発売)
さて、「黄金の鞍」には主人公の死んだ兄が、漫画雑誌の編集者として登場します。
- 会話の中
- 175 ページ
- 夢の中
- 294 〜 295 ページ
- 322 〜 323 ページ
- 回想
- 295 〜 297 ページ
- 405 〜 422 ページ
回想 2 は原作者と編集者について、長崎さん個人の主張や体験が大きく出ているようなので、ご興味のある方は読んでみて下さい。
ただ、物語の本筋に全く関係ない話が 20 ページ近く続くため、予備知識のない読者には意味が分からなかっただろう、と思います。
更に、410 ページには 2 通りに解釈できる文章があり(「本当はシナリオを書けるけど」が「編集者」と「シナリオを起こす人」のどちらに掛かるか分からない)、とても編集者が書いた小説とは思えません。
「いい原作者なんていい漫画家よりもいない。
原作者には二種類いるんだ……。
編集者や漫画家が描きたいジャンルを、そのニュアンスだけ大雑把に聞いて、見事なストーリーをシナリオにしてくれる人……これがいい原作者だ。
でもそういう連中は数が少なくて、一年後二年後までスケジュールがいっぱいだ。
もう一種類は、本当はシナリオを書けるけど、時間がなくて書けない才能のある編集者の言いなりでシナリオを起こす人だ」
他にも、「黄金の鞍」には以下の難がありました。
- 主人公の篠原 祐太の年齢が分からないだけならともかく、矛盾している(「黄金の鶏」主人公の安東 貞人も年齢不詳)
- 太り気味で、丸顔、よく見ると童顔。眼鏡をかけ、ごま塩頭を短く刈りこんだ五十代の人物だった。(45 ページ)
- 「第三世代の親父の代……今、生きてたら五十半ばから六十代……つまり篠原さんの世代ですね。その人たちは、根岸の丘陵地帯のほうに住んだんですよ」
篠原は、本当はあなたのおとうさんの世代より十歳は若いんですけどね、と心の中で少し傷つきながらつぶやいた。(211 ページ)
- 5 年前に小学生だった(172 ページ)娘の葉子が電話を掛けてくるが(281 ページ)、現在の年齢が分からない(283 ページから中学生以上であることは分かるが、中学 1 年生から高校 2 年生まで可能性がある)
- 主人公が古書店を営んでいるのである程度は仕方ないが、書名の羅列(179 〜 180 ページほか)が多すぎる
- レスリングの話題が多すぎる
2010 年 4 月、未だに燻る長崎 尚志さんの横領疑惑が誌面に掲載されました。
- 勝鹿 北星名義の代表作
- きむら はじめ名義の代表作
- ラデック・鯨井名義の代表作