「イリヤッド」(作:東周斎 雅楽/画:魚戸 おさむ)の「宿題」には、「有名私立小学校入試問題集」の以下の問題があります。
川がありました。
川岸に三人のお坊さんと三匹の鬼がいます。
三人のお坊さんは、鬼達と一艘の小舟で川を渡らなければなりません。
ただし、岸でも舟の上でも鬼の数がお坊さんより多い時は、お坊さんは鬼に食べられてしまいます。
小舟は一度に二人しか乗れません。
さて、どうしたら全員川を渡れるでしょう?
これは「川渡しの問題」と呼ばれる有名なパズルで、答は以下の通りです。
(20) 〜 (22) は、(20') 〜 (22') でも構いません。
入矢は誘拐犯との取引を (9) までの過程に見立てますが、結局「三人のお坊さんはズルをして……鬼をぶっ飛ばしました」としています。
川渡しの問題は、「お坊さんと鬼」の代わりに「宣教師と人食い人種」として「漂流密室」(湯川 薫)に登場したり、「試験に出ないパズル」(高田 崇史)に収録されている短編「山羊・海苔・私」でも扱われたりしています。
「漂流密室」「宿題」「山羊・海苔・私」の発表・掲載順序
2001 |
「漂流密室」発表(書下ろし) |
2002 |
「山羊・海苔・私」掲載(講談社「メフィスト」2002 年 9 月号) |
同 |
「宿題」掲載(小学館「ビッグコミックオリジナル」2002 年 9 月 20 日号) |
他にもあるかもしれません。
ご存知の方は、メールを下さい。
ミステリー作品やクイズ番組に川渡しの問題は頻出なので、「イリヤッド」で読んだときは食傷気味でした。
川渡しの問題に似た説話に「虎の子渡し」があり、広辞苑には以下の解説があります。
虎が三子を生むと、一子は彪(ひょう)で他子を食うので、水を渡る時まず彪の一子を渡し、次に別の子を渡して、また彪を渡し返し、さらに残りの一子を渡し、最後に再び彪を渡したという説話にもとづく。
- 苦しい生計をやりくりするたとえ。
- 碁石を用いて行う一種の遊戯。
- 京都竜安寺の石庭の異称。
「ビル・ゲイツの面接試験」(ウィリアム・パウンドストーン)でも、類題が紹介されています。
4 人の人が夜、崩れそうな橋を渡らなければなりません。
欠けている横板も多く、橋が支えられるのは一度に 2 人だけです(2 人を超えると、橋は崩れてしまいます)。
旅人は足元を確かめるために懐中電灯を使わなければなりません。
そうでなければ、欠けた隙間で足を踏み外し、落ちて死んでしまうのは確実です。
懐中電灯は 1 つしかありません。
4 人の人の歩く速さはそれぞれ違います。
アダムは 1 分で橋を渡れます。
ラリーは 2 分、エッジは 5 分、いちばん遅いボノは 10 分かかります。
橋は 17 分後には崩れます。
どうすれば 4 人は橋を渡れるでしょう。
旅人の名前が U2 のメンバーのままだと分かりにくいので、速い方から A, B, C, D とすると、答は以下の通りです。
(11) t=17
北 |
|
川 |
|
南 |
A, B, C, D |
(4) 〜 (8) は、(4') 〜 (8') でも構いません。
(7') t=14
北 |
B |
川 |
|
南 |
A, C, D |
そろそろ総括に入りますが、その前に、「イリヤッド」のアトランティス関連年表を掲載します。
アニメで英会話/台詞逆輸入 >
「MASTER キートン」と「イリヤッド」 >
「イリヤッド」と川渡しの問題