ITOMARU さんから、メールを頂きました。
「パイナップル ARMY」の「テキサス大強盗団」は、トニー・ケンリックの「バーニーよ銃をとれ」にかなり似ています。
というか、シリーズの設定自体が似ています(鬼軍曹がシロウトに軍事訓練)。
シリーズ初期の頑固職人的キャラへの乾いたリスペクトや、そぎ落としたハードボイルドな描写は、明らかに工藤 かずやの作風ですよね。
「バーニーよ銃をとれ(原題 THE SEVEN DAY SOLDIERS)」(トニー・ケンリック)は、1976 年にアメリカとカナダで同時出版され、1982 年に角川書店から邦訳が発売されています。
両作品の粗筋は、以下の通りです。
- 「バーニーよ銃をとれ」
- バーニー・リバーズたちが、ある銀行口座の「残高全額」を自分たちの口座に送金する
- 送金された金額は、予想を遥かに上回る 1 億 6700 万ドルだった
- その口座には、カブレラ(架空の国)の元大統領あるルイス・リボルが絡んでいた
- バーニーたちは盗んだ金を返そうとするが、拒否されたときのため戦う準備をすることにする
- バーニーたちは、人気のない山荘でレイ・キャンベルから 1 週間の戦闘訓練を受ける
- バーニーたちはリボルの部下たちを退け、作戦を成功させる
- 「テキサス大強盗団」
- アルバート・キャシディたちが、ある銀行口座の「残高全額」を自分たちの口座に送金する
- 送金された金額は、予想を遥かに上回る 140 万ドルだった
- その口座には、共和党の影のフィクサーであるゲイル・キースが絡んでいた
- アルバートたちは盗んだ金を返そうとするが拒否され、銀行に戻すことにする
- アルバートたちは、人気のない山荘で豪士から 1 週間の戦闘訓練を受ける
- アルバートたちはキースの依頼を受けた男たちを退け、作戦を成功させる
「バーニーよ銃をとれ」が「テキサス大強盗団」の基になっているのは間違いなく、「パイナップル ARMY」(作:工藤 かずや/画:浦沢 直樹)そのものの下敷きになっていることも、ほぼ確実でしょう。
更に、「パイナップル ARMY」の他の回や「MASTER キートン」(作:勝鹿 北星/画:浦沢 直樹)にも影響を与えています。
- 仮定の連続
- 「バーニーよ銃をとれ」25 ページ
- 「もしも手に入れば、の話だろう。もし望み通りの男をみつけることが可能でしかももしその男がきみの手紙を出した銀行に口座を持っていたとして、その上、もしおれが手伝うことにきめた場合の話だ」「とにかくもしが多すぎるよ」
- 「パイナップル ARMY」の「ブレイクスルー:突入」
- 「運よく豪士のシートの横の窓のシャッターが開いていて」「運よく豪士がこの信号を読み……運よく豪士という男の頭がさえていて……運よく、あの信号の真意を読みとれなきゃ何の意味もない。運よく運よく、だ……」
- 「バーニーよ銃をとれ」25 ページ
- ボタンと拳銃
- 「バーニーよ銃をとれ」119 ページ
- 「ジャケットのボタンはかけていたか?」「通りに立っていた男たちは肩から拳銃をつっていたのだ。ということは重い拳銃を意味する」
- 「MASTER キートン」の「迷宮の男」
- 「上着のボタンをかけ、左腕を体から離した同じ姿勢でしょ?」「左脇の下に、拳銃を吊ってますよ。しかもかなり重いやつ……」
- 「バーニーよ銃をとれ」119 ページ
従って、工藤さんも浦沢さんも勝鹿さんも長崎 尚志さんも「バーニーよ銃をとれ」を読んでいたものと思われます。
ちなみに、邦題の「バーニーよ銃をとれ」は「アニーよ銃をとれ(原題 ANNIE GET YOUR GUN)」のもじりです。
「アニーよ銃をとれ」は 1946 年のミュージカルですが、1950 年の映画が有名で、1957 年にテレビ化/1980 年に日本で舞台化されています。
3 つ目は、「青い鳥消えた」と「バニー・レークは行方不明」です。