長崎 尚志さんが「MASTER キートン」(作:勝鹿 北星/画:浦沢 直樹)後半と「ハンサムウーマン」(画:鎌田 洋次/脚本:プランダ村)の両方を書いたというのは、勝鹿 北星さんよりも無理だと思います。
何故なら、当時、長崎さんは小学館の社員の編集者だからです。
長崎さんは編集者として、以下の雑誌や作品に関わっていることが確認できます。
- 「ビッグコミック」
- 担当編集が確認されている作品および期間
- 「さんだらぼっち」(石森 章太郎)担当期間不明
- 「カムイ外伝」(白土 三平)担当期間不明
- 「さすらいのギャンブラー」(園山 俊二)担当期間不明
- 「HOTEL」(石ノ森 章太郎)担当期間不明
- 「陽だまりの樹」(手塚 治虫)1981 〜 担当終了時期不明
- 「ゴルゴ 13」(さいとう・たかを)1982 〜 1984 年
- 担当編集が確認されている作品および期間
- 「ビッグコミックオリジナル」
- 担当編集が確認されている作品および期間
- 「パイナップル ARMY」(作:工藤 かずや/画:浦沢 直樹)1985 〜 1988 年
- 「家栽の人」(作:毛利 甚八/画:魚戸 おさむ)1987 〜 担当終了時期不明
- 「MASTER キートン」(作:勝鹿 北星/画:浦沢 直樹)1988 〜 担当終了時期不明
- 担当編集が確認されている作品および期間
- 「週刊少年サンデー」
- 担当編集が確認されている作品および期間
- 「うしおととら」(藤田 和日郎)1991 〜 1992 年
- 「らんま 1/2」(高橋 留美子)担当期間不明
- 各作品の最終巻にクレジット
- 担当編集が確認されている作品および期間
- 「ビッグコミックスペリオール」
- ぴあ「Invitation インビテーション」2006 年 5 月号によると、「週刊少年サンデー」の後、「ビッグコミックオリジナル」復帰前に在籍しているが、作品や期間は不明
- 「ビッグコミックオリジナル」
- 担当編集が確認されている作品および期間
- 「MONSTER」(浦沢 直樹)1994 〜 担当終了時期不明
- 担当編集が確認されている作品および期間
- 「ビッグコミックスピリッツ」
- 編集長(編集長として異動したのか、異動してしばらくしてから編集長になったのか不明)
- 後に、解任
- 担当編集が確認されている作品および期間
- 「20 世紀少年」(浦沢 直樹)1999 〜 担当終了時期不明(解任と同時?)
「ハンサムウーマン」は 1992 〜 1994 年に「ビッグコミックスペリオール」に連載された作品であり、同時期の長崎さんの在籍雑誌としては、以下の可能性があります。
- 「週刊少年サンデー」
- 「ビッグコミックスペリオール」
もし、長崎さんが「週刊少年サンデー」に在籍していたら、「ビッグコミックスペリオール」新連載作品の脚本を書くことは、時間的にも立場的にもできないのではないでしょうか。
文藝春秋「週刊文春」2005 年 5 月 26 日号の浦沢 直樹さんの発言通り、「MASTER キートン」の原作は「浦沢さんと長崎さんが作る話が主流」であったとしたら、担当編集を外れたり他誌に異動したりしてからは、時間的に相当きつかった、と思います(立場的には、勝鹿さんが書いたことにしておけば済む?)。
「ビッグコミックスペリオール」に在籍していたとしても、編集部員としての仕事をしながら、「MASTER キートン」後半と「ハンサムウーマン」の両方を書くのは不可能でしょう。
従って、以下の表の上 2 つはなさそうです。
「MASTER キートン」後半の主流の原作 | 「ハンサムウーマン」の脚本 |
---|---|
勝鹿 北星さん | |
長崎 尚志さん | |
勝鹿 北星さん | 長崎 尚志さん |
長崎 尚志さん | 勝鹿 北星さん |
残るは下 2 つですが、「週刊文春」の浦沢さんの発言が正しければ、必然的に以下になります。
- 「MASTER キートン」後半の主流の原作は、長崎さんが書いた
- 「ハンサムウーマン」の脚本は、勝鹿さんが書いた(勝鹿 北星 = プランダ村さん)
勝鹿さんとプランダ村さんが、同一人物であることの傍証を勝鹿 北星さんとマンガの題名や人物名で示します。