ayumu さんから、メールを頂きました。
勝鹿 北星さんとマンガの題名や人物名の「残るハロルド・ロイドがどうなるのか気になります」について。
ハロルド・ロイドの綴りは Harold Crayton Lloyd です。
疑いなくロイズ (Lloyd's) 保険組合でしょう。
骨格となる設定としてまず念頭にあった「ロイズ = ロイド」から主人公の名前「キートン」が(マスターとの韻もよくて)選ばれたような気がしています。
なるほど、素晴らしい!
全く気付きませんでした。
チャーリーが埒外の後付けっぽいのが弱いところです。
いま大胆に妄想を膨らませると、登場前の設定においてはチャーリーはハドソン警部と同一キャラクターで、作劇上の理由(矛盾を解消するためなど)によって分離された可能性はないでしょうか。
それまでの扱いからして第 18 巻のハドソン警部の唐突な活躍はあまり合理的に思えません。
もしその役割が全てチャーリーに属するものであれば物語が綺麗に締まったのでは。
だとしたら、チャーリーの設定と第 18 巻のプロットは同一人物によって早くから関連して発想され、後から大幅に手を入れられたように想像されます。
とても面白いご意見です。
ただ、メールを頂いて、私は別のことを考えました。
「ハンサムウーマン」(画:鎌田 洋次/脚本:プランダ村)のロイド少佐は、「MASTER キートン」(作:勝鹿 北星/画:浦沢 直樹)のチャーリーに対応する登場人物として考案された、と思っていたのですが、勝鹿さんは「MASTER キートン」に出すつもりだったのではないか、ということです。
すると、3 大喜劇王との関連は以下のようになります。
- ロイズ(ハロルド・ロイド)
- 主人公がキートン(バスター・キートン)
- ライバル 1 がチャーリー(チャールズ・チャップリン)
- ライバル 2 がロイド少佐(ハロルド・ロイド)
「MASTER キートン」「ハンサムウーマン」の登場人物で、「ハドソン警部とトリアーノ刑事は登場順序が逆転しており、特殊」と書きましたが、その理由は以下のように推測できます。
- 勝鹿さんはライバル 2 を用意していたが、浦沢 & 長崎さんは使わなかった
- 勝鹿さんが用意していたのは、ハドソン警部ではなくてロイド少佐だった
- 登場時期は、上記 3, 4 の順から考えて「チャーリー」より後
- ハドソン警部も用意していたかもしれないが、ライバル 2 としてではない
- 勝鹿さんは、ロイド少佐をチャーリーと同じくらい活躍させるつもりでいた
- 浦沢 & 長崎さんは、ロイド少佐を使わなかった
- 浦沢 & 長崎さんは、ロイド少佐の代役としてハドソン警部を第 18 巻で活躍させた
- 第 18 巻の前にハドソン警部が登場する「ベンタヌ山の誓い」「山の裁き」の原作者は、勝鹿さんか浦沢 & 長崎さんか不明だが、後者が自然か
- 勝鹿さんが用意していたのは、ハドソン警部ではなくてロイド少佐だった
- 「MASTER キートン」のハドソン警部と「ハンサムウーマン」のトリアーノ刑事が対応するのは、偶然の一致だった
- 物語の内容上、どちらも警察関係者の準レギュラーがいても不思議はない
キートンを追って、チャーリーとジェコバ村に行くのが、ハドソン元警部ではなくてロイド少佐であれば 3 大喜劇王揃い踏みで、この上なく「物語が綺麗に締まった」と思います。
上記 1 - iv で、ハドソン警部をロイド少佐の代役とするのであれば次善の策として、外見・性格・職業などはハドソン警部のままで構わないから名前だけ「ロイド警部」とすれば、唐突感は否めないものの、擬似的に「物語が綺麗に締まった」ことになりました。
それにも関わらず「ロイド警部」としなかったのは、以下の理由からいくら何でもロイド少佐と同じ人物名は使えなかったためでしょう。
- 「ハンサムウーマン」にロイド少佐が登場していた
- 「MASTER キートン」の第 18 巻と類似度 A である「ハンサムウーマン」の「鮮血のイコン」「五人のイコン」「逆転のイコン」「勝利のイコン」「聖人ゴドノフのイコン」が既に掲載されていた
結論として、「チャーリー『とロイド少佐』の設定と第 18 巻のプロットは『勝鹿さん』によって早くから関連して発想され、後から『浦沢 & 長崎さんのハドソン元警部という形で』大幅に手を入れられたように想像されます」というのは、どうでしょう?
最後に、「ハンサムウーマン」の電子書籍販売停止について触れます。