「MASTER キートン」「イリヤッド」の似ている回

「MASTER キートン」(作:勝鹿 北星/画:浦沢 直樹)「イリヤッド」(作:東周斎 雅楽/画:魚戸 おさむ)の似ている回は、以下の通りです(他にもお気付きの方は、メールを下さい)。

類似度を A, B, C, D で表示しました。

類似度と同一原作者である可能性
類似度 同一原作者である可能性
A 非常に高い
B 高い
C 五分五分
D 低い
  • ナイフ使い
    • 「MASTER キートン」の「狩人の季節」「獲物の季節」「収穫の季節」
      • ジェームズ・ウルフ「拳銃の方が、ナイフより速いと思っているんだろう」
      • ジェームズ・ウルフ/レオ・ハニハ/オッター警視の元同僚の 3 人の本物のナイフ使いが登場するが、3 人とも「ナイフを水平に構えたり、左右に持ちかえたりしな」い
    • 「イリヤッド」の「齧られた月」
      • ペーテル「ナイフが拳銃より速いことを知らないのか?」
      • ペーテルは、「ナイフを逆手に持って使う」
    • 類似度 D
      • 「ナイフの方が拳銃より速い」という台詞は、他のマンガでも見掛ける(具体的な作品名は思い出せない……)から、同一人物の原作とは限らない
      • 「ナイフを水平に構えたり、左右に持ちかえたりしな」いと「ナイフを逆手に持って使う」は、矛盾するのではないか?
  • 「オデュッセイア」のユリシーズ王
    • 「MASTER キートン」の「迷宮の男」
      • キートン「ユリシーズ王はトロイ戦争後、十年の苦難の旅の末、故郷イタキ島にたどり着いた」
    • 「イリヤッド」の「仮面の旅人」
      • 入矢「十年に及ぶトロイア戦争後、ユリシーズは一路故郷イタケを目指した」
    • 類似度 D
      • 「トロイ戦争」と「トロイア戦争」の表記の違い
      • 「イタキ」と「イタケ」の表記の違い
      • 勝鹿 北星さんは個人ではなく集団?の情報源である、文藝春秋「MARCO POLO マルコ・ポーロ」1993 年 5 月号では、某大学の先生が匿名を条件に以下のように答えているが、「イリヤッド」では、イタカでもイタキでもなくイタケになっている

        ふつうはイタカ島と言うんだけどね。
        ひょっとしてイタキ島が原音だったりするのかもしれない。

  • 重度の糖尿病患者の追跡
    • 「MASTER キートン」の「豹の檻」「カルーンの鷲」「アナトリアの蟻」「死の都市の蠍」「井戸の中の鼠」
      • 重度の糖尿病患者のノーフォーク公をトレイサーのアクラム・ナスルが追う
    • 「イリヤッド」の「追跡 (1)」
      • 重度の糖尿病患者のジェンマ教授をトラッキング講習を受けているデメルが追う
    • 類似度 B
  • カエルの毒
    • 「MASTER キートン」の「メイド・イン・ジャパン I」「メイド・イン・ジャパン II」「メイド・イン・ジャパン III」
      • 殺し屋の中村は、テリブリス(南米南西部にしかいないカエル)のバトラコトキシンという猛毒により、ラファルグ将軍を殺害
      • 後に、同じ毒でウィルパーとキートンも殺害しようとして、いずれも失敗
    • 「イリヤッド」の「人類のタブー」
      • エンリケ・グレコ神父は、南米産のカエルの毒をアントニオに渡し、ヨセフ・ベルクを殺害させる
      • 後に、同じ毒で自らアントニオを殺害
    • 類似度 C
      • 中村のはティリビリスのミントタイプ(http://www2.wbs.ne.jp/~tamamizu/frog.html 現在閉鎖)?グレコ神父のはアカオビヤドクガエル
      • 「猛毒動物の百科」(今泉 忠明)に、以下の記述がある

        D・モリスの『アニマル・ウォッチング』によれば、有毒動物のチャンピオンはココイヤドクガエルだという。
        この小さなカエルは南アメリカの熱帯雨林の下生えの中を自由奔放に跳ね回っている。
        ふつう体長 5 cm 以下のこの美しい色をした両生類は、皮膚腺に形容し難いほど強力な毒を蓄えている。
        この毒のたった一グラムで、ふつうの体格の大人を 10 万人も殺せる。
        もし、1 オンス(約 28 g)集めることができれば、250 万人以上の人を葬り去ることができるという。
        ならば動物の世界で知られているもっとも強力な毒の一つということになる。

        だが、異説もある。
        だんぜん恐ろしいのはヒイロヤドクガエル (TWO-TONED POISON-ARROW FROG, Phyllobates bicolor) で、もっとも強い毒をもった両生類であるというのだ。
        南アメリカのコロンビア西部に分布。
        その皮膚分泌物に含まれる猛毒は、0.0019 mg/kg が半数致死量である。
        60 kg の体重の人であれば、ふつう 0.1 mg あれば死ぬ。
        これは他のヤドクガエルの毒よりも 20 倍も強力だという。
        生体一頭当たりの毒量は 19 mg であるから、1 匹いれば、190 人を殺せる計算になる。
        だが、不思議なことにこのカエルは猛毒にも感じないある種のヘビの餌食になっているというから面白い。

        ともかく両種とも恐ろしく強烈な毒をもっていることは確かだ。
        一般にヤドクガエルは南アメリカの派手なカエルで、その名はアマゾンの熱帯雨林の奥深く住んでいたインディオたちが、白人がやってくるずっと以前に、毒矢の矢じりをつくるためにこの動物を捕らえていたことによる。
        棒に突き刺して火にかざすと、瀕死のカエルはミルク状の液をだす。
        この液を矢じりにつけて乾かすと、一匹のカエルから 50 本の毒矢ができる。
        ジャガー、シカ、サルなどの動物や敵のインディオを狩るときの毒矢の威力はすさまじく、毒矢に当たったものは、どんなものでもほとんど一瞬のうちに麻痺し、じきに死んでしまう。

        この美しい猛毒ガエルはアカガエル科に近縁である。
        皮膚に毒をもつものなどを一まとめにしてヤドクガエル科とすることもある。

        この仲間はわずかな例外を除いて、ほとんどすべての種が皮膚腺にすくなくとも微量の毒をもっており、一部のものではよく発達している。
        その例外とは、たとえばチャイロヤドクガエル BROWN POISON-ARROW FROG, Colostethus sp. であろう。
        これは中央アメリカ南部、南アメリカ北西部に分布している。
        体長 2.5 〜 3.3 cm。
        低山の森林に多くみられるヤドクガエルで、冒頭のココイミズカキヤドクガエルと近似の種だが、皮膚から毒液を出すことはない。

        ヤドクガエルの毒は植物毒のアルカロイドと似た低分子量の猛毒である。
        バトラコトコキシンと呼ばれ、一般に半数致死量が 0.002 mg くらいで強烈である。

        殺人的防御機構をもっているおかげで、この小さなカエルは昼行性である。
        派手な色で自分の存在を誇示しながら林床を跳ね回り、誰にも邪魔されずに気ままに生きて行ける。
        秘密の化学兵器をもっている他の生物も、自分の姿を隠そうとしないし、中には化学戦をも辞さないという決意を示す特別なディスプレイをするものもいる。

        インディオは緑色をしたインコを捕らえると、一部の羽を抜き、そこにカエルの毒を塗り込む。
        不思議なことに、そこからは黄色い羽毛が再生する。
        彼らは美しい色合いのインコをつくるのである。

        ヤドクガエルの毒にやられた実例がある。
        ヤドクガエルは種によって毒の効き方が異なるらしく、ブラジルの生物学の専門家であるアウグスト・ルスキー教授(リオデジャネイロ連邦大学、70 才)が研究旅行中に被害にあった時は、症状が違う。
        ヤドクガエルであることは確実だが、即死するほどの猛毒でなく、じわじわと体が弱っていったという。
        日に日に衰弱し、息が切れて歩けなくなり、連日鼻から出血し、高熱と体中の痛みで夜も眠れなくなった。

        末期症状を示し始めたとき、アマゾンの熱帯雨林に住むインディオの祈祷師だけは解毒剤を知っているとの情報で、マト・グロッソ州のシングー保護区に住むチュカラマイ族のラオニ酋長とカマユラ族のサパインの 2 人の祈祷師がリオの病院に招かれた。
        全身を黒い塗料で彩ってルスキー博士の病室に入った 2 人は、まずタクペアーの実でこすった手で病人の体を撫でさすり、次に、ペテンカオーの葉を巻いて作った長さ 30 cm ほどのタバコを吸っては、この煙を両手で作った輪を通して病人の体中に吹き付ける「バジェ・ペタンの療法」で毒を抜き取ろうとした。

        しばらくして祈祷師サパインの手の平に、ルスキー博士を致命的状況に追い込んでいたデンドロパテスの毒が、緑色のネバネバした液となって現れた。
        2 日目はその液が白っぽくなり、3 日目に黒ずんでくると、もう毒がなくなった証拠だという。
        後は体中の毛穴が呼吸できるように清浄にして体を強くする薬草トロンコンを煎じた湯を体にかけて解毒作用は終わった。
        ルスキー博士はウソのように回復したという。

      • ヤドクガエルとは?(http://www2.wbs.ne.jp/~tamamizu/frog.html 現在閉鎖)に以下の記述があり、中村もグレコ神父も餌には苦労したはず

        実際には狩りに使えるような強力な毒の持ち主はフィロバティス属のごく一部の種類に限られ、他種の毒は大した事は無いようです。

        (中略)

        ヤドクガエルの毒は、生息地で常食する蟻などの昆虫から得た成分から体内生産されます。
        飼育下ではショウジョウバエやコオロギを常食としているため毒を作ることはできないようです。

どうしてこんなに両作品が似ているのか、「MASTER キートン」「イリヤッド」の原作/作画/担当編集を比較します。